The Difference Engine log
卯月鮎による、ゲームや本の紹介と仕事の話などです。
ファンタジーの本質 【ひと言読書メモ】
 ファンタジーの大御所ル=グウィンの評論をまとめた最新本。2010年にローカス賞のノンフィクション部門を受賞している。

 ファンタジーというジャンルを愛し、支え続けるル=グウィンだけに、その言葉は真摯で厳しく、ブレがない。特に「子どもの本の動物たち」という題の評論は、ル=グウィンの忌憚ない意見が名作ファンタジーを鋭くえぐる。現実世界で読まれるファンタジーとはどういう存在であるべきか?

いまファンタジーにできること
アーシュラ・K・ル=グウィン 谷垣 暁美
いまファンタジーにできること

「SFマガジン」2011年10月号が発売されました
 ライトノベル評を連載している「SFマガジン」の2011年10月号が発売されました。
今回は
入間人間『トカゲの王 SDC、覚醒』
佐島勤『魔法科高校の劣等生(1) 入学編〈上〉』
秋目人『騙王(かたりおう)』
ツカサ『九十九(つくも)の空傘(からかさ)』
森田季節『お前のご奉仕はその程度か?』
を紹介しています。

S-Fマガジン 2011年 10月号 [雑誌]
SFマガジン2011年10月号


伝説の書店 【ひと言読書メモ】
 シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店は、20世紀前半にパリにあった伝説の本屋。ヘミングウェイやエズラ・パウンド、ガートルード・スタインらが集い、発禁処分に遭ったジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』もここが出版した。

 その女性経営者、シルヴィア・ビーチが書店の開店から閉店までの思い出を語る。特にジョイスとのエピソードが印象的。作家と本を作る側、売る側との信頼関係。こうして文学は生まれていた。

シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店
シルヴィア ビーチ 中山 末喜
4309205674シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店


捨てるブームの元祖 【ひと言読書メモ】
 「空海と密教美術展」の影響もあって空海本がたくさん出ているが、先回りして次に脚光を浴びそうな人物を考えてみると、「捨て聖」こと一遍上人にたどり着いた。「葬礼の儀式をととのふべからず。野に捨て獣に施すべし」「よき武士と道者とは、死するさまを、あたりにしらせぬ事ぞ」「衣食住の三は三悪道なり」。かなりロックである。

一遍上人語録 (名著/古典籍文庫―岩波文庫復刻版)
一遍 藤原 正
一遍上人語録



記憶って何だろう? 【ひと言読書メモ】
 タイトルがタイトルだけに、実用本に思われそうだがそうではない。

 著者自身の記憶力選手権への挑戦を軸に、古代ギリシアからの記憶術の歴史、マインドマップのトニー・ブザンや『ぼくには数字が風景に見える』のダニエル・タメットへの取材……と、多角的に記憶に迫るノンフィクション。

 ルネサンスと記憶術の関わりを明かす古典的名著、フランセス・イエイツの『記憶術』への言及もあるなど、深い内容の割には勢いで一気に読ませる。本が希少品だった頃、記憶こそが知の中枢だった。そして今はどうだろう?

 ところで、最近読んだ『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のジョナサン・サフラン・フォアと、本作の著者ジョシュア・フォアが兄弟だったのを知って、かなりびっくりした。

ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由
ジョシュア・フォア 梶浦真美
ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由


「ダ・ヴィンチ」2011年9月号が発売されました
 「七人のブックウォッチャー」コーナーで連載中の「ダ・ヴィンチ」最新号が発売されています。

 今回は
早瀬乱『エコーズ』
アンドリュー・オヘイガン『マルチーズ犬マフとその友人マリリン・モンローの生活と意見』
を紹介しています。

ダ・ヴィンチ 2011年 09月号 [雑誌]