The Difference Engine log
卯月鮎による、ゲームや本の紹介と仕事の話などです。
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ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、逝去
 ファンタジーの大御所、ダイアナ・ウィン・ジョーンズが3月26日に亡くなったそうだ。

 前からガンを患い、化学療法などを止めたと公表していたのでいずれ聞かざるを得ないニュースだとは思っていたが、やはり寂しい。

 DWJ作品の中で今のところ一番好きなのは『デイルマーク王国史』四部作。吟遊詩人や織り手が物語る王国の歴史、不死の運命を背負った者たち、そして鮮やかなラスト。大ボリュームゆえ、気軽に再読というわけには行かないが、今度感謝の気持ちを込めてゆっくりページを開きたい。

詩人(うたびと)たちの旅―デイルマーク王国史〈1〉 (創元推理文庫)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 田村 美佐子
4488572065

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『オリクスとクレイク』からの派生(3)
 虚実がないまぜになった語りに翻弄されたいなら、19世紀に実在した殺人犯の女性を主人公に据えた『またの名をグレイス』はどうだろう。

 屋敷で働く美しい女中グレイスは16歳で主人と女中頭を殺したとして監獄に収監された。彼女は妖婦か、それとも犠牲者か?

 テーマはずっしりと重いのに、信じる足場が見つからず宙吊りにされたような感覚。こちらも非常にアトウッドらしい。

またの名をグレイス 上
マーガレット アトウッド Margaret Atwood
4000248057


『オリクスとクレイク』からの派生(2)
 悲しい恋の物語をもっと読みたいならブッカー賞(英連邦あるいはアイルランド国籍の作者により、英語で書かれた長編小説が対象)を2000年に受賞した『昏(くら)き目の暗殺者』。

 語り手のアイリスは富裕な工場主の妻。彼女は回想する。若くして死んだ妹のローラは、本当に事故死だったのか……。ハメット賞(国際推理作家協会・北米支部が主催する文学賞)も受賞していて、ミステリー的な読みも可能な作品。

昏き目の暗殺者
マーガレット アトウッド Margaret Atwood
4152083875


『オリクスとクレイク』からの派生(1)
 『オリクスとクレイク』でマーガレット・アトウッドにハマった方に、他の作品をさらっと紹介。詳しい内容はまた改めて。

 『オリクスとクレイク』の終末的な世界観が気に入ったなら、映画化もされた彼女の初期の代表作『侍女の物語』がお勧め。方向性が似ている

 抑圧的な管理社会と化した近未来のアメリカで、子を産むだけの存在「侍女」となった女性オブフレッドの生活を描く。淡々とした語り口が恐怖心を刺激する。

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)
マーガレット アトウッド Margaret Atwood
4151200118

ティム・パワーズの新刊
 ティム・パワーズの翻訳が久々に出る。どうやらこの5月に公開される『パイレーツ・オブ・カリビアン』第4弾『生命の泉』の原案に『幻影の航海』(91年/ハヤカワ文庫FT)が選ばれたことがきっかけらしい。

『生命の泉』(bk1)

 映画公式サイトの予告編を見ると、確かにジャック船長とゾンビぞろぞろの『幻影の航海』の世界観が融合している。相性はかなり良さそうだなあと。

『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(公式サイト)

 ティム・パワーズ好きとしては、これがヒットして世界幻想文学大賞受賞作のLast CallDeclareもどこかが訳してくれることを期待している。
『オリクスとクレイク』
 カナダを代表する作家、マーガレット・アトウッド。アトウッドは『侍女の物語』以来、好きでずっと追いかけている。もうかれこれ20年になるか……。

 『オリクスとクレイク』はアトウッドが最近取り組んでいる終末世界ものの三部作『マッドアダム』の第一部。

 抽象的な概念を持たないよう造られた“無垢な”新人類に、神話を創って聞かせる生き残った男。悲しみ、復讐、空虚さ。言葉とは何か、これも大きなテーマのひとつだろう。

 語り手は蛇なのか、それともアダムなのか……。いや、デミウルゴスか。表紙に使われたヒエロニムス・ボスの「悦楽の園」も意味深だ。

オリクスとクレイク
マーガレット・アトウッド Margaret Atwood 畔柳 和代
4152091819

『ミストボーン』シリーズが完結
 ブランドン・サンダースンの『ミストボーン』シリーズが、『ミストクローク3 永遠の大地』で完結しました。最後まで持ち味のスピード感と勢いが落ちなかったですね。

 私も解説を書かせていただいたシリーズなので、思い入れもひとしおです。翻訳ものとはいえかなり読みやすいので、「翻訳ものはちょっと……」という人にこそオススメします。

ミストクローク―霧の羽衣〈3〉永遠(とわ)の大地 (ハヤカワ文庫FT)
ブランドン サンダースン Brandon Sanderson
4150205272

『逆光』
 未訳だったピンチョンの大作『逆光』が9月に刊行。少し前から楽しみにしていたが、お値段上下で1万円近く。一気に購入する勇気もなく、忙しかったこともあって、ひとまず図書館で借りてパラパラと。しかし、これだけの中身の濃さならじっくり取り組みたいところ。年末、サンタに頼んで靴下に入らなかったら、買って読みふけるつもり。

逆光〈上〉 (トマス・ピンチョン全小説)
トマス ピンチョン Thomas Pynchon
4105372041

世界幻想文学大賞が発表されました
 ファンタジーファンにとって秋のお楽しみ、2010年の世界幻想文学大賞が10月31日に発表された。賞の対象は2009年の作品。興味がある部門をまとめてみると……。

長篇部門
The City & The City チャイナ・ミエヴィル
The City and the City
China Mieville
0330493108


中篇部門
“Sea-Hearts” マーゴ・ラナガン

短篇部門
“The Pelican Bar”, カレン・ジョイ・ファウラー

といったところ。ミエヴィルとラナガンとは、割と順当。ファウラーは映画化もされた『ジェイン・オースティンの読書会』のイメージが強かったので、この受賞はちょっと新鮮だった。

 特にThe City & The Cityはミエヴィルが本領発揮している作品らしく、ヒューゴー賞やアーサー・C・クラーク賞も受賞しているので、ぜひ翻訳してほしい。ちなみに今現在ミエヴィルを読むなら、英国幻想文学大賞受賞作の『ペルディード・ストリート・ステーション』がオススメ。

ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)
チャイナ・ミエヴィル 鈴木康士
415209043X


あと、ちょっと目を惹いたのは、Special Award-Professionalという部門で宮崎駿が"Ponyo"でノミネートされていたこと。残念ながら受賞はならなかったが、海外のファンタジーファンはあの映画をどう見たのだろうか。
海外アマゾン定点観測 2010年9月19日編
 久々の海外アマゾン定点観測。今回は、ファンタジーの中のカテゴリー分けで一番多数派のエピックファンタジーをチェックしてみた。

1.Alice's Adventures in Wonderland (Illustrated) by Lewis Carroll and Gordon Robinson (Kindle Edition - Apr 2, 2009)
(邦題:ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』)
Alice's Adventures in Wonderland
Lewis Carroll
0141439769



2.BRAM STOKER'S DRACULA by Bram Stoker (Kindle Edition - May 10, 2008)
(邦題:ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』)
Dracula (Penguin Popular Classics)
Bram Stoker
014062063X



3.FOLK TALES Every Child Should Know by Hamilton Wright Mabie (Kindle Edition - Apr 27, 2009)
(未訳)
Folk Tales Every Child Should Know
Hamilton Wright Mabie
1406529591



4.Towers of Midnight (Wheel of Time) by Robert Jordan and Brandon Sanderson (Hardcover - Nov 2, 2010)
(未訳、ロバート・ジョーダン/ブランドン・サンダースン《時の車輪》の最終第12部(3分冊)の第2巻)
Towers of Midnight (Wheel of Time)
Robert Jordan Brandon Sanderson
0765325942



5.The Way of Kings (The Stormlight Archive) by Brandon Sanderson (Hardcover - Aug 31, 2010)
(未訳)
The Way of Kings (The Stormlight Archive)
Brandon Sanderson
0765326353



 というわけで、キンドル本が上位3冊を占める結果に。『アリス』は2.99ドル、『ドラキュラ』とFOLK TALESは0ドルと、上位は青空文庫的。思わずキンドルのブラウザに『ドラキュラ』をダウンロードしてしまった。

 4位は、ブランドン・サンダースンが故ロバート・ジョーダンの未完シリーズを引き継いで書いているもの。11月発売予定なので、予約だろうか。

 5位もサンダースンで、8月に発売された新シリーズThe Stormlight Archiveの第1巻。全10部作予定とは壮大すぎる。各巻の終盤に来て状況が一変する、いわゆる“サンダースンの雪崩”が、どれだけ起きるのか考えただけでも、楽しみでちょっと恐ろしい。

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